前回に続きまして鉄筋コンクリート造(以下RC造)の出窓からの雨漏りの事例です。
前回までに雨水が浸入してくる可能性が考えられる疑わしい箇所を特定しいますので、今回はそれに基づいて実際に雨漏り再現調査(散水調査)の事をお話しします。
雨漏りの具象(具体的な現象)が床に水が溜まると言うことでしたので、実際に浸水経路は見えない状態です。
散水を開始する前に水分計で現在の状態を確認すると
異常に数値が高い箇所が有ります。
数値を拡大してみると
含水率が29.3%と計測できます。通常室内で使用している「木」の含水率は15%以下が標準ですから、かなり高い数値になっています。
前日まで降っていた雨で、もしかしたら雨水が浸入しているかもしれません。
但し床に溜まる等の具象(具体的な現象)は起きていませんでした。
他の箇所でも上図までは数値が高くはありませんが
数値を拡大してみると
含水率が24.3%と通常の値より高くなっています。
このままの状態で雨漏り再現調査(散水調査)を行っても、雨水の浸出の確認が取れないことが想定されましたので、壁のボードを切り取って雨水の浸入経路を確認します。
壁を開口してみると、先ほど数値が高かった場所では木の色が変わっており雨水が通っている経路であることが分かります。これだけ色が変わっていれば含水率の数値も高くなるはずです。
この状態で外部から雨漏り再現調査(散水調査)を行い、雨水浸入位置を探して行きます。
疑わしい箇所に散水をすると、木の色が変わっている箇所に水が流れてきます。
拡大してみると
更にその箇所に散水を続けてみると
出窓の中央部分からも水が漏れてきました。
これで雨水の浸水経路分かりました。
ヒアリング時に言っていた、「雨が2日間くらい降っているような長く続く雨の時に水が溜まる。」と言うことが分かってきました。
但し、これで調査は終了ではありません。
ここで疑わなければならないのが、複数から雨水が浸入して1箇所から雨水が浸出してくる【複数浸入雨漏り】と言うパターンもあることです。
1つ目の雨水の浸入位置には、パテとガムテープ等で塞ぎ
雨水が浸入しないようにしてから、雨漏り110番グループで討議した疑わしい箇所にも散水調査をしていきます。
するとこの部分からも、雨水の浸出が確認できました。
また、今までと違う箇所からも雨水の浸出を確認する事が出来ました。
拡大写真です。
今回の雨漏りは、【複数浸入雨漏り】と【複数浸出雨漏り】が複雑に絡み合って【創発雨漏り】と言うパターンの雨漏りになっていました。
散水調査を行って、1箇所の雨水浸入位置が見つかったからと言って、そこで調査することを止めてしまえば、もう一つの雨水浸入位置は探すことは出来ませんでした。
その1でご紹介した室内でのしっかりとした事前確認、その2でご紹介した外部からの事前確認、ここでご紹介した散水調査、この一連の調査が有ってはじめて【雨水浸入位置】が特定できます。
雨漏りの再現調査は、時間も費用も掛かります、ですがしっかりと雨漏りの原因を探し出して修繕を行うことが、雨漏りの解決の近道であると考えています。
また、雨漏り110番グループでの討議なども含めて、雨漏りで困っている方たちの
役に立てるように、日々活動しています。