築60年の平屋木造住宅での雨漏り事例です。
大屋根ではなく下屋根から直下の部屋へ雨水浸出しているとのお話し。
さっそく現場確認してみると屋根仕上げ材はセメント瓦でした。
苔が大量に堆積しているという状況。
築60年、セメント瓦、当時の2次防水仕様を考えると経年劣化と答えが簡単に出てきてしまうと思いますが、セメント瓦が割れていない部分での雨漏りということを考えなくてはいけません。
どういう事かというと、セメント瓦はその形状によって雨水をさばいています。
赤線のところは水平方向にセメント瓦が重なっている部分なのですが、ここに溝があります。この溝が重なっている部分に入ってくる雨水を下の瓦に流しています。
そしてこの溝にホコリ、土、などの堆積物が詰まってしまうとオーバーフローして2次防水側に雨水が流れ、傷んでいる2次防水から室内に雨漏り具象として現れる。
こういったメカニズムを考えなくてはなりません。
とはいえ、2次防水が脆弱だから雨漏り具象がおきてしまうのですから、修理の方法は2次防水からしっかりとなおさないといけません。
今回はセメント瓦をすべて撤去してナマコ板での修理となりましたが、過去の事例では雨水浸入している箇所を2次防水処理+セメント瓦の溝を清掃、再利用という修理も可能です。
2次防水をしっかり修理するのは当然なのですが、なぜ割れていないセメント瓦が雨水浸入位置となるのか?を考え、メカニズムを解明し、お客様にしっかりと説明できることが雨漏り診断士には必要なスキルだと思います。