先月の雨漏り診断士コラムでは『雨漏り現場調査』の視点をあげさせていただきましたが、今回は赤外線サーモグラフィーを使用した雨漏り現場調査についてです。
赤外線サーモグラフィーを使った現場調査といっても基本はしっかりとしたヒヤリング、状況確認をいたします。
あくまでも赤外線サーモグラフィーはひとつのツールです。これで雨漏りしているかどうかは判断できません。分るのは温度の変化だけです。
<サーモ画像1の可視画像>
これを赤外線サーモグラフィーで見ると
<サーモ画像1>
このように見えます。窓枠左側と真ん中あたりの壁面温度が下がっているのが分ります。
<サーモ画像2の可視画像>
同じく赤外線サーモグラフィーで見ると
<サーモ画像2>
やはり壁面の温度が下がっているのが分ります。
今度は外を見てみましょう。
サーモ画像1の外は出窓になっています。
<サーモ画像1の外観>
出窓の上には屋上陸屋根、そして手摺り付き笠木があります。
サーモ画像2では屋上から
<サーモ画像2の外観屋上から>
窓の上に陸屋根のドレンがありますね。
ここでそれぞれのサーモ画像と外観を見て単純に屋上の笠木だ、屋上防水だ、ドレンが原因だと判断してはいけません。
サーモ画像では確かに天井と壁の入隅から温度が下がっているのが分りますが、分るのはあくまで温度だけ。水が流れて温度が下がっているのが分るだけなんです。
何が言いたいかといえば、
サーモ1では出窓の上から雨水浸入している可能性。
サーモ2ではサッシと壁の取り合いから雨水浸入している可能性。
は否定できませんね。
雨漏りは
単一雨漏り(雨水浸入位置1箇所、雨水浸出位置1箇所)だけではなく複数浸入雨漏り(雨水浸入位置が複数箇所、雨水浸出位置が1箇所)もあるのです。
そういったことまで考えると今回のような赤外線サーモグラフィーの画像を見ただけで雨漏りの原因を特定するのは非常に危険です。
こういった事を言っていると赤外線サーモグラフィーはダメだ!といっているととらえられてしまいますが、そうではなく、今までのヒヤリング、現状確認の補完ツールとしてとらえることが大事だと思っています。