やっとというか、とうとうというか、手元に届いたサーモグラフィー。
さっそくいじってみました。
可視画像はこれです。クロスの上に珪藻土を施工している壁ですね。じつはここ、元々換気扇が付いていたところで必要がないので外してボードでフタをしただけなんですね。断熱材も入っていません。
そう、当たり前ですが、サーモグラフィーは温度差がわかる。言い換えれば温度差しかわからない。ということです。
何が言いたいかと言えば『サーモグラフィーを使えば簡単に雨漏りがわかりますよ』的な表現を見聞きしますが、はっきり言います。サーモグラフィーでは雨漏りはわかりません。
だって温度差しかわからないのですから。
ここの画像、ちょっとわかりにくいですが、内装壁に穴を開けて中を確認している写真です。手前に見えているのが内装のボード、断熱材はしっかりと入っていて今は除去しています。 そしてこの雨漏り、間柱と外壁下地の構造用合板の間に流れる雨漏りでした。
こういった場合、表面の温度しかわからないサーモグラフィーでは内装ボードを撮影しても温度差が画像として現れず、誤った判断をしてしまう場合があります。
ちなみにここの壁は雨染みなどひとつもありませんでした。
このようにしてあくまでわかるのは表面の温度だけ。見えない壁の中がすべてわかるわけではないのです。
これも事務所内壁を写したサーモビューワーです。
サーモビューワーでは窓枠右側が上から下まで紫色の帯になっていますよね。これは柱部分です。断熱材の入らない柱の部分は他の部分と比べると温度が低いことがわかります。ちなみに、撮影したのは晴天2日目。雨漏りはしていません。
このようにして下地によっても温度に差が出ます。
もし、建物の知識や構造を理解していない人が雨の日にこのサーモビューワーを撮影したらどう思うでしょう?
温度が低いから即雨漏り!という判断を下すかもしれません。
したがって、サーモグラフィーは温度差を可視化する道具であって雨漏りを発見できる道具ではないのです。
もちろん、雨水に濡れればそこは温度が下がりますから可視化できます。いままで雨水浸出するまで雨漏りの再現とならなかった調査も時間短縮になる可能性はあります。
サーモグラフィーはダメだ!使えない!ということを言っているのではなく、あくまでひとつのツール、温度の世界を可視化する道具として使用することが重要です。
冒頭の『サーモグラフィーは雨漏りに有効か?』
には
『有効ですが、サーモグラフィーだけでは雨漏りはわかりません』
私はそう断言できます。