県南部の公共施設からの雨漏り調査のご依頼です。トップライトから雨漏りするとのこと。
過去にも複数回発生し、その都度補修を繰り返した経緯があるそうです。
建築に詳しい方でしたら、かなり危険な納まりだとわかるかと思います。
いわゆるかまぼこ屋根です。軒先は勾配が急ですが、頭頂部に行くほど平らになります。勾配が緩いほど雨漏りのリスクは大きくなり、さらにその頭頂部に穴を開けて異素材のものを取り付けているわけです。異素材のものは、熱膨張率も外力に対する挙動も変わってきます。一体化(水密性を保つ事)するのは難しいのです。さらにさらに、積雪地にも関わらず、立ち上がりもほんのわずか。
外も内側もすべてシールにて補修されています。
さて、詳細にヒアリングします。
「補修後、止まったところもあれば以前と違うところからも出てきてる」
「前回は業者さんの方で散水調査を行った、でも再現できずにギブアップと言われた笑」
「最後に雨漏りしたのは12月後半」
全て重要な情報です。
このような複雑な取り合いからの雨漏りは散水調査を行い、どの部位から雨水が侵入するかを検証するのが一般的です。
ですが、上記の情報から、結露等、雨漏りではない可能性が推測されます。
トップライトはアルミとガラスでできています。断熱性はほぼありません。室内からの暖気と室外からの冷気に直接晒されるところですから、結露リスクが最も高い部位になります。結露が原因の場合は、雨漏りとはまったく別の対策工事となります。もちろん散水調査では再現不可能です。
こちらの物件は、経過観測の期間をいただくことにしました。4月以降に同じような漏水があればやはり雨漏りとなりますし、なければ結露の可能性が高い、という判断がなされるかと思います。
我々は雨漏り修理業者ではありますが、雨漏りという事象そのものに囚われるれることなく、建物の総合的なトラブルに向かい合える知識と姿勢が必要と考えます。
ちなみにこちらの物件、4月現在、漏水の再発はないとのことです。
散水調査の前に、少し他の可能性も考えては?とのお話でした。