雨漏りがもたらす被害において最も重大であり、かつ顕著なのが「腐食」です。
腐食は腐朽菌が発生することによって起こります。腐朽菌が生息するには水分が必要ですから、木材に常に水分が供給されていることが、腐食が起こる前提となります。逆にいえば、水が介在していなければ腐食は起こりません。すなわち、建物に水分が介入するメカニズムを断つことが、建物をもたせることの本質なのです。
例えば木材の腐食は、腐朽菌の発生によって起こります。腐朽菌が生きるためには水分が必要ですから、木材に「常に」水が触れ続けることが、腐食が起こる前提となります。逆に言えば、乾いてしまえば腐朽菌が生息できず、木材は腐食しません。
この写真の破風板を見て、腐食していると思いますか?そう、腐食はしていません。塗装した塗膜が著しくはがれている“だけ”です。
では、なぜこれほど塗膜が剥がれていても腐食しないのか?それは、このむき出しになっている破風板表面に雨がかかったとしても、下に流れ落ちていくからです。雨が止めば、じきに乾き、腐朽菌は生きていけません。
でも大多数のリフォーム業者は、このように塗膜が剥がれている木部を指し、「劣化が進んでいるので早急に手を打たなければならない」と指摘するのではないでしょうか。
これは腐食していますが、
こちらは腐食していません。
同じように塗装されているようですが、なぜでしょう?
それは、木枠の下端が水切りに接しているか否かの違いです。上の写真では、水切りの上に木枠が乗っています。窓ガラスの表面に生じた結露による水分が水切りの上を流れ、木枠の下端とのわずかなすき間に入り込みます。狭いすき間には毛細管現象(細い空間を、重力や上下左右に関係なく液体が浸透していく現象)が起こりますので、水を引き込みます。またすき間が狭ければ乾きにくく、いつまでも水分が留まった状態になります。
そして木材が乾燥する前に再び結露したり雨が降ったりして木材表面を濡らします。そうして繰り返すうちにやがて腐朽菌が付着し、腐食が進行していくのです。
一方、下の写真は水切りの上に木枠を乗せることなく、双方の取り合い(接合部)を意図的に離しています。これにより、木材が小口から雨水を吸い込むことなく、腐食を防ぐことができたのです。
要するに木材が腐食する原因は、その木材が組み合っている形状(納まり)によるところが圧倒的であり、塗装することで腐食を防ぐ効果はほんのわずかでしかないのです。