外壁リフォームにおけるカバー工法とは、今ある外壁を壊すことなく、新しいサイディングやタイルを上に重ねて張るリフォームの手法のことです。
カバー工法のメリットとして、外観のイメージをガラっと変えられることが最も大きいでしょう。しかも、工場で製品化された壁材を張り付けてゆきますので、塗装などの工法に比べ、新築のように見える度合いが高くなります。また、外壁裏に断熱材や遮音材を張っているものもありますので、そういった機能を加えることも可能です。
ただし、雨漏りを防ぐといった意味合いにおいては、不安な要素も多いのです。
たとえば、金属サイディングにてカバー工法にされたお宅の事例。
ここに水をかけると、
ここから出てきました。
…なんのことか分からないですね(笑)
建物の全景を撮った写真で説明します。
青矢印の地点に水をかけたところ、赤矢印から出てきたのです。言葉で書けば、南面バルコニーに水をかけたら、西面から水が出てきたということです。写真では分かりにくいのですが、バルコニーの端から南西角まで2メートルほどありますので、西面に水がかかってしまうことはありません。したがって、おそらく、南面にかけた水は、金属サイディング同士が生じるすき間やサイディングを取り付ける際の部材をつたって横に移動し、角を曲がって西面のはじまで達したのです。
カバー工法は、いわゆるボロ隠しのようなもので、もともとの外壁がどのような状態であっても、取り付けてしまえばきれいに直ったようなイメージになります。ただし、一旦雨漏りが発生すると、トラブルになっている部分が隠されてしまうため、その原因を究明することがたいへん難しくなってしまいます。
もちろん、カバー工法で取り付けられた外壁材を雨水が乗り越えたときに、その雨水を速やかに外に逃がす仕組みがきちんと備えられていれば問題ありません。ただし、それには、もともとの外壁を適切に補修した後に新しい外壁材を張ってゆくことになります。ですから、何もせずに張っていくのに比べ、仕上がった際の見た目が変わらないにもかかわらず、金額は大きく変わってきます。
カバー工法は、取り付けに伴うリスクがたいへん大きいのです。したがって、外壁材の耐久性などより、それを取り付ける際のリスクを避けることを重視しなければなりません。
カバー工法を検討される際には、安易に選択することは避け、多方面からじっくりと考えられることが大事です。