前回のまさかの雨漏り事例~1 からの続きになります。
前回は排水ドレンが軒天井のなかで、つながっていなかったというまさかの事態から次の訪問までの仮配管で終わりました。
見た目では、軒天井にシミが出ているだけだったのですが、新築から2年間、雨が降るたびに玄関庇(ひさし)に降った雨水は排水ドレンを通り軒天井へ、軒天井からあふれ出る雨水はサイディングの壁の中(通気層)を通って基礎の上の水切り金物の上から排出されていました。
シミの出た軒天井や軒天井の下地木材、排水ドレンをつなぐといった工事をやり直すのは当たり前なのですが、この状況で考えられる一番恐ろしい事は、サイディングの中の柱や土台といった構造体が傷んでいないかなのです。
今回の場合、通気工法のサイディング壁なのでサイディングの下には透湿防水紙が施工されています。
通常の工事(外壁先行工法)が施工されていれば雨水は透湿防水紙の上を通り土台水切りの上から排出され、柱や土台が傷んでいない事も考えられます。
しかし新築から2年、玄関庇に降った雨水全部が壁の中を通っていた事、もし透湿防水紙になんらかの不具合があったとすると、柱や土台といった中の木材は雨が降るたびに濡れていた事になり考えるだけでも恐ろしいです。
とはいえ恐ろしい事を想像していても壁の中は見えませんのでサイディング壁を解体するしかありません。
とはいってもサイディング壁の解体はいろいろと問題があります。
まずは既存のサイディングがあるかです。古くなるとほぼ同じものは無いと考えたほうがよいかもしれません。
もし同じものがあっても、経年劣化などにより貼り換えたところだけピカピカになってしまう可能性があります。
無塗装品を塗装で仕上げる場合も同じように貼り直す範囲、塗り直す範囲など・・。
サイディング壁を解体撤去する前に、調べる事やどのようにどこの範囲まで直すかなど、お客様と決めなくてはいけない事がたくさんあります。
今回の工事では、2種類、2色のサイディングですが、1種類は見つかったのですがもう1種類が廃版になってしまっていました。
全国の問屋さんの在庫がないか調べてもらってみましたが、色違いの品物は見つかりましたが同じ物は有りませんでした。
お客様に状況を説明し貼り換える範囲と材料の選択など内容をご納得頂いてからの解体撤去になりました。
お客様に許可を頂き解体して中の木材などの確認です。
雨水が通っていたであろう軒天井とサイディング壁の撤去です。
2年間玄関庇の雨水を全て受け止めていた軒天井は上の写真のようにかなり変色していました。
大工さんに解体をお願いしている間に、私は、玄関庇の水張り調査です。
まさか無いとは思いますが玄関庇のつながっていなかった配管以外の部位に不具合が無いかの水張り調査です。
玄関庇の笠木、笠木と壁の取り合い部分など防水層以外の散水調査を行うためには玄関庇のFRP防水層が雨漏りしていない事を確認してからでないと雨漏りの迷宮に迷い込んでしまうかもしれないので・・・(笑)。
仮に繋いでいた排水管をしっかり止めて水張り調査中です。
えっ!まさか・・・(涙)。
水張り調査を開始して3分後まさかの、雨漏り確認です。
FRP防水のドレン廻りがきれいに収まっていなかったのと、排水管とのつなぎ部分の防水テープなど気になる所はあったのですが、まさかFRP防水層までが雨漏りしていたとは・・・。
もし水張り調査をしないで、工事を進めてしまっていたらと考えると恐ろしいです。
今回のドレン廻りの雨漏りの水量ぐらいの場合、通常の散水調査の水量では雨漏りの再現が出来なかったかもしれません。
雨漏り補修工事が完了した後の台風やゲリラ豪雨などの時に再発していたかもしれません。
考えてしまうと恐ろしい事ですが、
やはり雨漏り調査は、簡単な事ではありません。とても難しい調査です。
軽い考えで雨漏り調査に取り組んでしまうと、とんでもないしっぺ返しをもらいかねません。
やはり石橋をたたいて、たたいて壊すぐらい慎重に進めなくてはいけませんね。
しかし実際に散水調査でなかなか分らない時は、壁や天井などを壊したい衝動にかられてしまうのですが・・・(笑)。
この現場のその後ですが、排水ドレンの交換とFRP防水層の増し貼り施工の後、再水張り調査を行い防水層に雨漏りが無いことを確認。
アルミ笠木のジョイント部分やアルミ笠木と壁との取り合い部分など怪しい所をしっかり散水調査を行い雨漏りが無いことを確認。
雨漏りにより変色してしまった下地木材の交換、サイディング壁や軒天井を復旧、シーリング、塗装など仕上げ工事を行い
雨樋を新設し雨水管に接続して全ての工事が完了いたしました。
今回は雨漏り調査、雨漏り補修工事の内容や仕上がり具合などお客様はとても喜んで下さいました。
しかし雨漏りはとても難しく難解な場合もあります。私が想像していた範囲以外に雨漏り侵入位置があることもあります。
もちろん最善を尽くしているつもりですが、再発の可能性も0パーセントでは無い事もお話しもさせて頂き、台風など大雨、暴風雨の後はよく観察して下さいとお願いして今回の工事を終了とさせて頂きました。
これからも頑張ります!(^^)!