今回は、当社が調査・施工を行った鉄骨3階建て住宅での屋上からの雨漏り修繕工事の一例を、ご紹介します。
お問い合わせいただいた時の状況
- 外壁塗装・屋上防水工事など、全面改修工事をしてから3年経過。
- 普段使っていない部屋の棚を移動→壁がカビだらけになっていた。( 写1 )
- 屋上からの雨漏りの疑いがあると判断→3年前に全面改修工事を行った業者に問い合わせ→
「屋上の防水工事には問題なし」と判断され、対処してもらえない。
屋上は、「塩ビシート」防水です。( ポリ塩化ビニル製のシートを貼る防水工法。)
お客様は、この建設会社の対応に不信感を抱かれ、お住まいの地域の不動産に相談したところ、当社をご紹介いただき、私共で雨漏りの再調査をする運びとなりました。
それでは、調査を開始しましょう!
読者の皆さんにわかりやすいように、ツアー仕立てで調査の流れをご紹介したいと思います。
まずは、屋上の塩ビシートの状態を確認してみます。写真2と3を見てください。
排水経路となるドレン廻りは、特にしっかりチェック!
シートを隅々まで確認していきます。今回のケースでは、シートに裂けや、水の侵入につながるような傷は、見受けられませんでした。
続いて、漏水している部屋に移動して、天井を確認してみます。
梁やデッキプレートがあるため、天井から排水溝の裏側を確認することが出来ません。
屋上に戻り、排水ドレンを調べていきましょう。
改修工事を行う際、「改修ドレン」(写5)を取り付けることが多いのですが、この改修ドレンの取り付けが悪いせいで、漏水が起きてしまうケースもあります。きちんと調べていきましょう。
配水管内部の状況を知るため、ワイヤーを差し込んでみます。
排水口から差し込んだワイヤーがぶつかる辺りに建物の壁つたいに縦に落ちる「縦樋」があります。(写9)
ワイヤーの入り具合から、排水口〜縦樋までは、かなり距離がありそうです。
取り付けられている「改修ドレン」は、既製のもので、排水口〜縦樋をつなぐジャバラ部分が、50cmでした。(写5)
いよいよ改修ドレンが、雨漏りの原因である可能性が高くなってきました。
「改修ドレン」は、配水管が下向きに落ちる縦樋までしっかり届いていなければ、取り付ける意味がありません。
今回のケースでは、壁の中に設置されている隠ぺい配水管が破損している可能性があり、(壁を壊さなければ確認出来ません。)本来、その破損部に水が流れ込まないよう、改修ドレンを設置することで、補修しなければならない状況だったと予測できます。
ここで調査終わりではありません!実際に水を流して散水調査をします。
散水検査開始からわずか数分で、天井からの雨漏りを確認。
今回の雨漏りの原因は、屋上排水口〜縦樋までの隠ぺい配水管の破損だと判明しました。
図面上でも確認しましたが、正確な配管図はなく、図面と実際の配水口の配置にズレが認められました。
排水口〜縦樋間は、高低差がかなりあり、150cm 〜180cm位あります。さらに、複数箇所で曲がっています。(写10・11)
今回の調査でわかった漏水の原因
- 前回の改修工事で取り付けられた改修ドレンが、縦樋まで通っていない。
- 3階の天井・壁裏に配置されている隠ぺい配水管が破損。
- 図面での確認が正確に出来ない。
ここまでわかれば、工事プランが立てられます。
今回のケースでは、隠ぺい配水管の破損を、本来補うべき改修ドレンが、機能していない状況です。
隠ぺい配水管を交換するには、屋根及び壁を壊す必要があり、工期も長引き、費用もかさみます。
そこで、今回、提案させていただいたプランは、特注改修ドレンの取り付けです。
お客様の了承もいただけました!
特注改修ドレンの取り付けについては次回に続きます。