こんにちは、(有)志村建装 代表の志村です。
近年、ゲリラ豪雨や竜巻被害と言った異常気象に見舞われることが増えておりますね。皆さまも傘対策、お洗濯対策など試行錯誤されていることと思います。
当社にお問い合わせ下さる方の「お家トラブル」の傾向も、以前とは変わって来ているのを感じております。例えば、大雨が降った翌日の「雨漏れ」の問い合わせ件数のみに注目してみても違いは明らかです。
今回は、急に「雨漏れ」が始まってしまった事例をご紹介したいと思います。まずは、どのような造りの建物か写真をご覧ください。
オーナー様のこだわりが感じられる装いのお洒落な2階建て住宅です。今回、雨漏れしてしまった箇所が、こちらです。
この採光窓のフレームから部屋の中へぽたぽたと漏水していました。
では、窓のズームアップ写真をご覧ください。
こちらが、天端のシーリング部分です。
お客様から事情をお聞きしたところ、以下のような状況でした。
- 30年前に新築
- 採光窓は、オーダーメイドで設置
- 20年前に、垂直部分のガラスのみ入れ替え
- 複数回漏水は起きているが、最近特に気になるようになってきた。
- オーナー様は遠方にお住まいで、現在は賃貸物件(入居者様有り)
- 最小限の部分補修を希望
これらの事情を踏まえ、当社がお客様にご提案致しましたのは、
「採光窓の天端のみシールの打替え」です。現在、入居者様がいらっしゃること、お客様自身も最小限の工事を希望されていることを最優先に、一番疑いのある天端のみに的を絞らせていただきました。
垂直部分のシールも経年劣化がなかったわけではございません。あくまでも、天端以外はガラスの入れ替え時に一度メンテナンスされていること、メンテナンス済の箇所と天端のシール劣化の程度に差が有りすぎる点を踏まえての選択でした。
それでは、シール打替えの様子をご覧ください!
まず、この既存シールを撤去します!
既存シールを撤去する際、サッシの水抜き穴が砂埃で完全に塞がっていることに気づき、清掃したところ、雨水が中から溢れ出して来たそうです。すかさずカメラを構えてくれたようなのですが、光の反射でわかりづらかったので、こちらの写真でご覧いただきたいと思います。この水溜まりが、水抜き穴に溜まっていた雨水です。
ちなみに、こんな形状の水抜き穴です。サイズは、5mm×15mmです。
穴ひとつから出た水が、大体200mm×450mm四方です。結構な量でした。
それでは、シールを打ちましょう!!!
以上で施工完了です!!!
高さのある採光窓の天端ということで、脚立足場を設置しての作業になりましたが、キレイに仕上がりました!当社スタッフも頑張ってくれました!
その後、雨は止まった様子でした、、、。
が、この後、思いがけないところからの雨水侵入経路が発覚してしまいました。
本来、雨が入るはずのない箇所からの雨水の侵入です。
- 工事完了後、止まっていた漏水が再発
- 雨水の量が以前より増加
- 漏水再発の前日、一晩中吹き降りの雨
翌日、現場確認に伺ってみたところ、本来、雨が入るはずのない箇所からの漏水の可能性が出てきました。
これが、雨漏れの恐ろしいところです。ここからは、建物との知恵比べですね。
私共が施工した箇所からの漏水の可能性も疑いつつ、散水検査を行います。
こちらが、散水検査の様子です。
散水検査は、状況次第で、2時間以上かかってしまう事もあるので、お客様にご協力いただきました。
まず、今回の施工箇所にたっぷりと散水をします。
シールを撤去してから打替えをしているので、施工ミスがあれば、そこから漏水してしまいます。
しっかりと散水した後、天端からの漏水がないことを確認致しました。
次に、天端以外を箇所ごとに散水していきます。
私共の見解で、可能性が高いと考えられる箇所から確認していきます。
前日の風向きから考えて、以前取り替えたサッシ廻りのシールからの漏水が疑われたので、漏水の状態から見て、30分以上散水しても入らないようであれば、今回の漏水原因とは考えにくいので、別の箇所を調べます。
残された箇所で、疑わしいのが、サッシフレームの水抜き穴です。本来、水が入るはずの場所なのですが、規格外オーダーメイドサッシということで、構造上の不具合がある可能性も考えられたため、前日の風向きと同じ方角から散水してみます。散水してから1分もしないうちに、ポタポタと雨漏れが始まりました。
つまり、以下のような現象が起きていると想定されます。
サッシ取替え工事の際、勾配が整っていなかった。
・時間経過による建物の歪み・地盤 等の影響により、水切り穴からの雨水侵入経路が出来た。
・砂埃で水切り穴が塞がったことにより、しばらくの間、雨が入らなかった。
・今回の工事で、水切り穴を清掃したことにより、雨がより入りやすくなった。
・漏水再発
建物の内側からサッシ廻りを調査させていただいたところ、サイズが大きいこと、水切り穴が砂埃で埋まって機能していなかったことにより、かなり結露がひどい状態になっておりました。
サッシのカバーを外し、構造を確認した所、いよいよ水切り穴からの漏水の可能性大になってまいりました。
次の写真をご覧下さい。
矢印の先、アングルの継目から水がじわじわと滲んで来ます。
ここが、雨水侵出箇所でした。
そこで、私共が考えた方法はと言いますと、「水切り穴に水切りをつける」方法です。
こちらが、オリジナル「水切り穴用水切り」です。
ちなみに、当社常務のオリジナルです。
早速、取付です!
他の可能性も消えたわけではないので、お客様のご協力のもと、再び散水検査です。
今回もじっくりと、様々な角度から散水していきます。
漏水なしです!!!
これで一安心ですね。
後日、雨が降った際、お客様に確認したところ、異常なしとのことでした。
今回の工事で、改めて考えさせられたのは、思い込みで漏水箇所を探してはいけないと言うことです。
そして、皆様に雨漏れの早期対策をお勧め致します。
一つの侵入経路が別の経路を呼び、どんどん複雑な状態になっていってしまいます。
そうなる前に、漏水箇所を見つけて、是非、是非、メンテナンスしてあげてください。
最後までお付き合い頂き誠に有難うございました。また来月も宜しくお願い致します。
有限会社 志村建装 代表取締役 志村 徳彦