前回に引き続き、足立区「某町会会館」での防水工事施工例の後編をご紹介します。
前編はこちら
今回ご紹介致しますのは、「配管の付替え」及び「バルコニーの防水工事」(通気緩衝法)の施工例です。
まず始めに、「配管の付け替え工事」の様子です。
今回の建物では、図面上2箇所に分かれて流れるはずの排水が1箇所に集中するという、「建築構造由来の排水力不足」に着目をし、排水量を大幅に上げることを、お客様にご提案致しました。
なぜならば、「外壁の塗替え」、バルコニーや庇の防水工事をどんなにしっかりと行っても、
雨漏りの原因が、構造上の問題である限り、将来的に不安を残す結果になってしまいます。
「それでは、せっかくの工事が台無し!」とまでは言いませんが、後々、お客様が残念な気持ちになってしまうような事態は、可能な限り「阻止したい!」と、言うわけで、「排水経路改善工事」の様子をご紹介致します。
施工前の天井裏を走る排水管の状態をご覧下さい。
庇の立上りがとても低く、排水ドレンも1箇所のみです。配管の大きな曲がりも気になります。(写真1・写真2)
実は、この立上りの真下が、漏水箇所なのです。
では、天井を開口します!
体が通る程度の穴を開け開口部から体を滑りこませて、天井裏の配管を撤去!
ドレンの口が顔を出しました。
続いて、庇の上から、既存ドレンの撤去です!
天井裏から見ると、こんな感じになっております。
これで、準備は整いました。
早速、撤去した配管を、直径50ミリから直径75ミリの管に付け替えましょう!
念には念を、大きな曲がりも解消します!
これで、不足分の排水量は、補えるようになりました。一安心ですね!
今回のケースでは、漏水箇所の真上に、漏水を招いていると予測出来る箇所がありました。
雨漏りは、とてもデリケートな現象なのです。ここで、少々、雨漏りのお勉強会をしたいと思います。「雨漏り」と、一言で表せるものではなく、大きく分けても、4パターンの現象があげられます。
- 単一雨漏り 雨水が1箇所から入って来て、1箇所から漏れ出している
- 複数侵入雨漏り 雨水が複数箇所から入って来て、1箇所から漏れ出している
- 複数浸出雨漏り 雨水が1箇所から入って来て、複数箇所から漏れ出している
- 創発雨漏り 様々な要因が、相互的に影響を受けあっていて、問題のある箇所だけ修復しても対処出来ない状態
例えば、雨漏りを生じさせている問題箇所を修理したら、別の雨漏りが進行してしまったなんていう事例もあるんです。
雨漏りって、本当にデリケートですね。
慎重に工事プランを立てていかないといけません!
では、本題に戻りましょう!
天井に開いた二つの穴をふさぎ、表面を整えて、「排水経路改善工事」は、施工完了です!
続きまして、バルコニーの通気緩衝法によるウレタン塗膜防水工事のご紹介を始めたいと思います。
施工前のバルコニーの状態をご覧下さい。
立上りの既存防水層は、FRPです。
立上りの入隅には、苔が大量に生えています。
また、コンクリートには、かなり大きなクラックが走っています。
このような状態は、要注意な状態です。
今回、当社がお客様にお勧め致しましたのは、ウレタン防水の「通気緩衝法」という工法です。
土間にクラックが目立っていることも踏まえてのプランです。
また、既存防水がウレタンではないので、縁切り材を塗布した後工事していきます。
ここで、「通気緩衝法」について、簡単に説明をさせていただきます。
「通気」「緩衝」法。読んで字のごとく、下地のコンクリートの水分(水蒸気)を逃がして、クラックなどの塗膜破断要因には、「通気緩衝シート」が、緩衝効果を発揮する工法です。
ウレタン防水塗膜は、下地の水分や、クラックの影響を大きく受けます。
下地の水分は、特に夏場、気温上昇が激しくなると、水蒸気となって空気中に逃げようとします。
ウレタン塗膜で蓋をされた状態では、水蒸気の逃げ場が無く、風船のように塗膜を膨らませる、「膨れ」現象を、招いてしまいます。
また、ウレタン塗膜を形成する以前に、クラックがあれば、塗膜の切れ易さも高まります。「通気緩衝法」は、これらの問題点を解消するための工程を踏んでいく工法です。
では、工事の様子をご覧いただきましょう!
土間のクラックが、ウレタン塗膜の強度をさげないよう、下地を調整!
土間を、ウレタン塗膜で覆ってしまう前に、下地の目地に、空気の通り道を作っています。
ここで、シートの登場です!
下地の水分が、ウレタン塗膜にいたずらをする前に、このシートの下から脱気装置へと逃がすとともに、下地の動きに対しての耐久性を高めてくれるのです。シートの下を通る水蒸気が、空気中へと逃げれるように、脱気装置も取り付けます。
このシート、ポリエステル不織布製のシートなのですが、とてもフカフカで、貼っていると、心地良いそうです。(当社スタッフ談。。。)
通気緩衝シートには、一定間隔で、穴が開いています。これは、シートを完全に下地に密着させず、点止めすることで、シートが程よく浮いている状態を作るためです。
穴が開いている部分だけ、下地と密着するわけです。
この工程を、「目止め」と、言います。言うなれば、通気緩衝法のメインイベントです!
「マット貼り」と「目止め」が、しっかりと、且つ美しく仕上がっていなければ、完成後の景観にも機能にも、多大なる悪影響を与えてしまいますからね。
ここまで来れば、一安心です。
あとは、ウレタンで塗膜を作って行きます。
最後は、ウレタン塗膜保護材で、汚れ・紫外線対策を施します!
ウレタン防水「通気緩衝法」による工事完了です!
庇もキレイになりました!
ドレンカバーも皿型からドーム型に変わりました!
お客様にお伺いしたところ、その後、雨漏りは、止まったとのことでした。
これで、一安心です。
皆さま、いかがでしたでしょうか?
前編・後編に渡り、長らくお付き合いを頂きまして、誠に有難うございました。
雨漏りや、リフォームの事でお悩み方が、多数、こちらのサイトをご覧になられていると思います。
施工事例や、工事プラン事例をご紹介させて戴くことで、微力ながら、皆様の疑問・不安軽減のお手伝いになりますよう願っております。