2階建ての住宅の雨漏り調査に於いて、1階の窓上部のサッシと額縁の間から雨漏りが発生しています。被疑箇所を推測し順次散水による雨漏り調査を実施しています。散水箇所と散水時間は図内に記載の通りです。
AからCは2階のサッシ廻り、Dは屋根と壁の取り合いです。
Aから開始し、Dまでを午前中に散水しましたが雨漏りは再現されませんでした。ランチタイムから戻ってすぐに当該箇所から水滴が滴り落ち始め雨漏りは再現されました。
午前中最後に散水したDの部分の散水が終わってから60分が経過しています。D部分の散水開始時間からだと120分が過ぎ去っています。ちなみに、Aのかけ始めからだと240分経過しています。
ということで、既に雨漏りは再現されていますがどの場所に散水した時のものかが
よって、雨漏りの経路も不明です。となると次に行うべき作業は何が正しいのでしょうか?
またAからやり直した方がいいのでしょうか?でも、その結論は240分後になるということになりますが・・・。
散水調査は下記条件で行った。
※試験水は水道水のみを使用し、部位別の蛍光塗料などは使用していない。
※A部分の散水後はA部分に試験水が掛からないように養生を施した。
さて、あなたの「次の一手」はなんでしょうか?どうやって雨漏りの原因箇所を特定させますか?
果たして入口は1箇所なのでしょうか・・・。
などと、毎日頭をひねりながら調査を進めています。
]]>そう、同じ場所から。
以前に比べると浸出雨量は少なくなっているようなので、今まで行ってきた対策はそれなりに効果があったと思われた。
今回の事例は、いわゆる「複数浸入雨漏り」だと考えられ、まだどこかに雨の入り口が残されているのだと考えられた。早速、散水調査を再度執り行い原因の究明を行う。
結果は、写真の位置への散水により雨漏りが再現されたので、ここに原因が残されていると判断した。サッシの水切り金物の端末にある小口キャップの隙間から雨は浸入しているようだ。
水切り金物の下部は既にシーリングで塞がれているので浸入した雨が外部に排出される事は期待できない。かと言って、そこを開放することは雨の浸入口を復活させる意味合いもあるため容易にシーリングを撤去することもできない。
補修方法として小口キャップと水切り金物の隙間を現状のままシーリングで処理する事も考えられるが、それには厚みが不足しているため小口キャップを撤去した上でシーリング作業を行う事とした。(建物は鉄骨ALC造)
当然ながら、水切り金物の内部には空間が存在し、浸入した雨は巾木内部を室内方向に移動する。その先には防水層の立上り端末が存在すると考えられ、おそらくその防水端末を乗り越える経路で雨は防水層の裏に到達し浸水していたことが想定できた。
特に「複数浸入雨漏り」の場合、“再発”という形で雨漏りが発生するので時に混乱を招くが、冷静な状況判断を心掛ければ“原因を絞り込んでいる途中”であるという認識に至るはずである。
雨漏りを是非とも解決したいという気持ちは、建物のオーナー様はもちろんのこと、見つける側も同じである。たとえ“再発”に見える現象でもお互いの信頼関係と諦めない気持ちがあれば解決できない雨漏りなど存在しないのだから。
]]>まず、天井のボードを取り外してビックリ!
上階の床フローリングの裏が見えるではありませんか!木造でもないのに!
正確には「スミポインター※」の穴から上階の床下が見えたということです。
そして、その穴と周辺のクラックから雨が浸出した形跡がありました。
雨の浸水経路としては、4階の外壁に取り付けられている給湯器の各配管(給水管、給湯管、ガス管)の壁面貫通部から室内側に浸水、内装壁ボードと躯体の隙間を落下した雨水は床下エリアに移動、水溜りとなった後、当該クラックやスミポインターの貫通穴から下階に落下したという訳です。
今まで、新築時から十数年間、誰にも気づかれる事がないまま穴は存在していたようです。「開いた口がふさがらない」というか「開けた穴をふさいでない」という事が今回の雨漏りのおかげで判明したという訳です。
スミポインターはRC造の建物の躯体築造時に下階から基準墨を上階に移すための仮穴です。お役目終了後はモルタルなどを詰めて塞がなくてはなりません。工期が無かったのでしょうか、慌てて内装工事を進めたのでしょうか、誰にも気付かれる事無く建物は竣工を迎えたようです。
今回は、4階の雨漏り原因に対処すると同時にスミポインターの穴もモルタルで埋めさせて頂きました。
止水処理を施した上で。もしかして、スミポインターは誰かに気付いてほしかったのかもしれません。
「開きっぱなしだよっ」て。長らくお役目ご苦労様でした。
※「スミポインター」で検索すると詳細が解ります。
]]>おおよその浸入口までは絞り込めました。
しかし、扉の外側なのか扉の枠本体なのかを特定するためにもう少し検証が必要です。
まずは二次防水に問題がないかどうかを検証するために扉側をテープで養生して調査再開です。
被疑箇所が広範囲に存在する場合は、被疑箇所全てに対し一ヵ所づつ時間を掛けて調査するよりもこのように絞り込んでいく手法の方が最終的に時間の短縮になる事が多いのではないでしょうか。
但し、一度再現させていますので、再現水の動きとか落ち着かせ方などを考慮する必要があります。
精神を集中して臨まなくてはなりません。
外壁や屋根の塗装を行う前には既存の下地を洗浄しますが、その時に使用される機械が高圧洗浄機です。高圧洗浄機には業務用や家庭用等ありますがいわゆる散水ノズルとは水圧に大きな差があります。
先日、雨漏り調査のお見積りをご提出した時に管理会社の担当者の方から「散水調査は高圧洗浄機で行うのですか?他社の見積りには高圧洗浄機使用と記載されていたのですが?」とのご質問がありました。基本的に下記の理由により調査に高圧洗浄機は使用していない事をお伝え致しました。
※雨漏りした時の雨の状況も再現しながら調査を行う事が調査の精度を上げる事になります。
おそらく、高圧洗浄機の水圧は9.8MPa(100kgf/cm²)~14.71MPa(150kgf/cm²)程度で使用する事が多いと考えられますが、そういった強い水圧は自然の風雨ではあまりお目に掛からないのではないでしょうか。
雨漏りを無理やり再現したのでは本当の原因箇所を特定した事にはなりませんので。
台風の時だけ雨漏りする場合、普通の雨で雨漏りする場合、壁が濡れた時だけ雨漏りする場合など雨漏りが発生するときの状況は建物でそれぞれ違いますが建物に高圧水並みの雨が降り注いだり叩きつける事はどのくらいあるのでしょうか。もしも、普段の雨に高圧洗浄機並みの水圧があるとしたら屋根の塗装を行う時に下地の洗浄は必要ないはずです。苔も蔓延らないのでは?
だとしたら本当に助かりますけど。
強い水圧では普段は問題のない部位からの雨漏りまで引き起こす危険があります。よって、高圧洗浄機は雨漏りの調査には不向きだと考えます。お勧め出来ません。
散水ノズルで十分に雨漏りの再現は可能です。もしも、結果がなかなか出ないとしてもそれは散水位置や散水時間の問題であり決して水圧の問題ではないのです。(状況により、自然を超えない範囲で多少強めに散水する事はあります。)
そういった意味でも雨漏りを解決する一連の作業は簡単な事ではありません。これからも心して取り組みたいと思います。
]]>下階の天井に雨漏りが発生しているのですが、そもそも長い時間が経過しないと気づかないという雨漏り事例でしたので、散水調査の時は天井部分からの再現を待つよりは天井裏で早期に確認するという体制で臨みました。
しかし、その天井面に点検口を取りつけるほどの面積はありませんでしたので、小さいダウンライトを取り外してデジカメで随時写真を撮影しながら再現の確認を行いました。すでに内視鏡カメラの類は雨漏りの調査には不向きであることが判明しておりますので今回は小さめのデジカメを準備して調査に挑みました。
しかし、この穴がちょっと小さかった。
カメラだけなら入るし、片手だけなら何とか入るのですが、カメラを持ったままでは入れられないというくらいの穴の大きさなのです。それでも何とか天井裏にやっとこさ手をいれてシャッターを押すのですが、方向がうまく合ってなかったり、暗いためかピントが合っていなかったりで撮影枚数はかなりの枚数になりました。
しかも、撮影の度に画像をいちいち確認しなくてはならないので、そのためのカメラの出し入れが(大きな声では言えませんが)また面倒なのです。
更にストロボを多用したせいか途中で電池は切れるはで何かと大変な調査になりました。とは言え、その内、コツもつかめてきた頃にキラリと光るものがモニターで確認されました。再現され始めたようです。その後は周辺の鉄骨まで濡れて来たので再現は成功という事になり一件落着と相成りました。
夕方には右手が傷だらけになっていましたが、それでもデジカメがあって本当に良かったと思わずにはいられないある日の雨漏り調査でした。
この次は、カメラ部分とモニター部分が分かれるやつを購入しようと強く心に誓った事は言うまでもありません。
]]>伸縮目地の幅は10㎜~20㎜程度とされているので外観上は他の縦目地より太く
なります。コーナー部分のシーリングが太いのはこのためです。
しかし、充填材にとっての不幸は建物の角のシーリングは挙動によって切れやすい
部位であるという事と、周辺のALCパネルも破断しやすいという事で雨の影響を受け
やすいのです。
そもそもが「綿」状のものですので水分を吸収します。しかも、部分的にしか固定され
ていませんので度重なる雨漏りなどがあった場合は形状が崩壊し流れ出してしまいます。
充填材が残存している初期の雨漏りの場合は原因の確定に手間取ります。浸入
した雨は充填材に浸透していくのでなかなか具象化されません。時には翌日に
浸出してくるので雨漏りの調査の観点からは厄介者だと言えます。
雨と共に充填材は下階へ流れて行きます。そして、何もない隙間が出来上がるという訳
です。そうなると雨は好き放題に建物内へ浸入し、徐々に鉄骨を錆びさせていくのです。
一般的に出隅の内側には柱が存在しますので内装を撤去しても充填材を確認する
事は困難です。また、再充填(取付け)も事実上不可能だと思います。別の方法を
試みる事になるでしょう。
以上のように、充填材絡みの雨漏り調査では再現が困難ですので諦めずに執り行っ
ていかなくてはなりません。
床タイル面のどこからか浸水している事は散水調査で確認出来ました。おそらく端末の躯体の取合い付近から下階の室内に雨漏りしていると推測しました。
タイル面の浮きは元より下地モルタルの浮きも懸念されました。
壁面近くのタイルやモルタルを剥がして端末を処理する事も選択肢にはありましたが、作業には数日間必要ですので店舗の営業予定を鑑み止水剤の注入による工法を選んだ次第です。
ウレタン系注入止水材は水分と反応して発泡膨張し隙間に充満する事で水の通り道を塞いでくれます。絵にかいたように1回で問題個所を改善してくれる事ばかりではありませんが数回対応する事でほぼ完全に止水が可能です。
この日は止水作業後に確認散水を行い改善が確認出来ました。この工法が有効に働く条件として「ある程度浮いている」事が挙げられます。雨漏りの改善には臨機応変な対応もまた必要なのです。
]]>「ここ」から浸水してました。
何がまずいのでしょうか?
サッシとの段差寸法が少ないとか、水切り金物の出幅が少ないとか気になる事もありますが、取り急ぎ「ここ」はせめて目地状にしてシーリング処理を施したいものです。
塩ビシート防水の端末を金物で押さえること自体は必要な事です。しかし、押さえるだけでは雨の浸入を防ぐ事は出来ません。押えのアングル材は皮肉にも雨を受ける役目を担ってしまいました。
仮にシーリングが施されていたとしても経年劣化に伴い雨漏りが発生したのではないでしょうか。それほど悩ましい納まりでもないと思うのですが。
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