シーリング材(コーキング)ってそもそも何でしょう?
ビルや外壁を接近して見ると壁をいくつかに分割した大きさに縦と横のラインがあるのが分かります。このラインを一般的に目地と呼んでいます。この目地に詰めてある防水性の詰め物がシーリング材です。目地以外には窓サッシュ枠のまわりやドア枠のまわり、あるいはガラスの縁まわりなどにも詰めてあります。これらを総称としてシーリング材と言います。
シーリング材は建築物の構造上どうしても発生する隙間を埋めるために必要なものです。部材が温度や湿度の変化によって伸び縮みしたり、あるいは地震や風圧によってたわんだり、位置がずれたりする動きに追随し、気密性や防水性を確保しなくてはなりません。
このシーリング材には大別して2つあり、形状があらかじめ定まっている定形シーリング材またはガスケットと呼ばれるものと、形状が定まってない、すなわち目地に詰める段階ではペースト状で詰めたあとしばらくたつとゴム状に変化(硬化)する不定形シーリング材とがあります。この不定形シーリング材のことを一般にシーリング材と呼んでいます。
では、シーリング材にはどんな種類があるでしょうか?
シーリング材のおもな種類には、シリコーン系、ポリウレタン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系の4種類があり、それぞれ1成分形と2成分形があります。1成分形とは空気中の水分と反応して表面から硬化する湿気硬化型で、2成分形とは基剤(主剤)に対して硬化剤を混合させ反応させることによって硬化するタイプのシーリング材のことを言います。この4種類(都合8種類)が現在の建設業界でおもに使われているシーリング材です。
その他には、アクリル系、アクリルウレタン系、SBR系、ブチルゴム系、ポリイソブチレン系などがあります。また最近ではほとんど使われなくなりましたが、油性コーキング材と言う1成分系のシーリング材があります。シーリングのことをコーキングと言う人がよくいますが、それはこの油性コーキング材から由来しています。1950年頃、日本に初めて輸入されたのが油性コーキング材で、当時は油性コーキング材しかありませんでした。ですからそのコーキングを施工する業者のことをコーキング屋さんと呼称していました。ちなみに今現在は、シーリング業者とかシール屋さんと呼ばれております。今でも古い職人さんや年配の建築士さんはコーキングと言ったりしますが、それはシーリングのことですのでご理解ください。
前述のように今現在の建設業界で良く使われているシーリング材には4種類(都合8種類)があるわけですが、それぞれに特性があり長所と短所があります。ですから材料選択の際に何でも良いと言うわけにはいかないのです。一例をあげれば、シリコーン系シーリング材の上に他の種類のシーリング材を打ち継ぐことは出来ません。また、ムーブメント(動き)の大きいカーテンウォール目地などには伸縮性の高い低モジュラス※の材料を使わないと、すぐに破断したり、剥離したりするのです。
※モジュラス=引っ張り応力のこと
一般のお客様である皆様が、それらの特性を全て知ることは難しいですが、ここまでの情報を知ってるだけで、業者のレベルを判断し悪徳業者や素人業者を見分けることは簡単です。その業者さんに次の3つの質問をぶつけてみてください。
「シーリングのことをコーキングって言うのは何故ですか?」
「シーリング材にはどんな種類がありますか?」
「それぞれのシーリング材について特性を教えてください」
2番めの質問までは正しい答えを既にご存知ですよね。そこまでクリアした業者に3番目の質問をぶつけてみてください。そこで慌てずにスラスラと答えられたら、ある程度まともな業者だと判断して良いでしょう。