施主のヒアリングから始まり、設計者がプランニング、そして施工業者が建築図面を元に施工するという流れが一般的です。
当初設計の重要さと設計者と施工者の連携がいかに大事かを再度認識する場面に遭遇しました。
写真は新築住宅の外壁とサッシの取り合い入り隅部のものです。
入り隅にサッシが近接しています。
これでは防水の納まりとして、極めて危険です。
白く見えるのが外壁下地防水に当たる透湿防水紙ですが、ほとんど切れ端状態で、本来張られているはずの防水テープも施工されていません。
というかこの隙間では手が入らず、施工できません。
施主から「できるだけ窓を大きくしてほしい」との要望があったのでしょうか。
しかし、これでは建物の最も重要な機能である「雨風をしのぐ」という防水機能が不完全になります。
この後に及んでは、シーリングを充填して納めるしか方法がないのですが、設計者と施工者のミスマッチが将来の雨漏りトラブルの可能性を大きくしました。
我々はプロです。
なんでも言われたまま、客先の要望の通り仕事をするという事は、プロとしての責任を果たしていないと感じた案件でした。
]]>
天井から雨漏りするとのことで駆けつけました。
2階建木造アパートの2階の部屋です。
洗面所の天井に漏水跡があります。
隣の浴室の天井点検口から天井裏へ。
屋根からは雨漏りしてません。キッチンのレンジフードに接続されたダクトホースの継ぎ手から漏水しているようです。
結論は、調理した際にでた蒸気がうまく排気されず、勾配の不具合もあり、なおかつ継ぎ手が完全ではなかったための漏水現象です。冬季でなければそれほど問題はないかもしれませんが、天井裏は部屋の断熱ラインより上にあるため、ほぼ外気温に近くなります。低温環境で、ホースの中を温かい蒸気が走れば結露は容易に発現します。
聞けば、煮込み料理等を頻繁に行うライフスタイルのようでしたから、天井裏を調査する前にある程度予測はついたのです。
継ぎ手を補修した上で、グラスウールで包み、温度差を解消します。
天井のプラスターボードを張り替えて、あとはビニールクロスを貼って完了です。
現調とヒアリングを丁寧に行うことによりスピーディーに問題解決が図れます。
雨漏りと言われたからと、先入観にとらわれるのはいけませんよ、というお話でした。
]]>県南部の公共施設からの雨漏り調査のご依頼です。トップライトから雨漏りするとのこと。
過去にも複数回発生し、その都度補修を繰り返した経緯があるそうです。
建築に詳しい方でしたら、かなり危険な納まりだとわかるかと思います。
いわゆるかまぼこ屋根です。軒先は勾配が急ですが、頭頂部に行くほど平らになります。勾配が緩いほど雨漏りのリスクは大きくなり、さらにその頭頂部に穴を開けて異素材のものを取り付けているわけです。異素材のものは、熱膨張率も外力に対する挙動も変わってきます。一体化(水密性を保つ事)するのは難しいのです。さらにさらに、積雪地にも関わらず、立ち上がりもほんのわずか。
外も内側もすべてシールにて補修されています。
さて、詳細にヒアリングします。
「補修後、止まったところもあれば以前と違うところからも出てきてる」
「前回は業者さんの方で散水調査を行った、でも再現できずにギブアップと言われた笑」
「最後に雨漏りしたのは12月後半」
全て重要な情報です。
このような複雑な取り合いからの雨漏りは散水調査を行い、どの部位から雨水が侵入するかを検証するのが一般的です。
ですが、上記の情報から、結露等、雨漏りではない可能性が推測されます。
トップライトはアルミとガラスでできています。断熱性はほぼありません。室内からの暖気と室外からの冷気に直接晒されるところですから、結露リスクが最も高い部位になります。結露が原因の場合は、雨漏りとはまったく別の対策工事となります。もちろん散水調査では再現不可能です。
こちらの物件は、経過観測の期間をいただくことにしました。4月以降に同じような漏水があればやはり雨漏りとなりますし、なければ結露の可能性が高い、という判断がなされるかと思います。
我々は雨漏り修理業者ではありますが、雨漏りという事象そのものに囚われるれることなく、建物の総合的なトラブルに向かい合える知識と姿勢が必要と考えます。
ちなみにこちらの物件、4月現在、漏水の再発はないとのことです。
散水調査の前に、少し他の可能性も考えては?とのお話でした。
]]>
木造や鉄骨造に関わらず、基礎は全て鉄筋コンクリートという構造になります。
コンクリートは様々な要因でひび割れします。材料、施工、地盤、地震などの外力によるものなどです。
ヘアクラックと言われる微細なひび割れは特に心配いりません。
0.3mmを超えるひび割れ、特に貫通クラックは専門業者による調査と補修が必要です。
放置すると内部の鉄筋の発錆の原因となり、建物の強度に悪影響を与える場合があります。
あと、シロアリの侵入口になることも。。。
写真はひび割れに対してエポキシ樹脂を注入している状況です。ひび割れの空隙に高強度のエポキシ樹脂を充填することにより、防水と物理的強度の復元効果があります。
さらに専用の防水材を塗布して仕上げると、美観性の向上にも繋がります。
最後にやってはいけない補修方法の一例を。
シリコンシールのクリアを塗ってます。これはやめてください。美観性以前に長い期間は持ちませんし、近い将来、必ず黄変します。他の材料も上塗りできませんので、この現場を補修してくれと言われたら、私たち専門業者も頭を悩めます。
ご自分で修理なさる前に、まずは専門業者に相談することをお勧めします。
]]>RC造3階建。震災の影響からか、外壁・スラブ共にひび割れが顕著でした。
屋上階下の雨漏り被害も大きく、確かに既存防水層は機能を果たしていませんでした。
防水層の劣化が酷くない場合は通常、撤去せずオーバーレイ工法により産廃費用と工期を圧縮するのですが、こちらはスラブにゴムシートがほぼ接着していない状況でしたので、全撤去です。
既存ドレン廻りも撤去です。
鉛製の改修ドレンを挿入。これで1番の弱点である排水廻りの補強ができました。
補強クロスを敷いた上に、改質アスファルト防水材を塗布します。
トップコートを塗布して仕上げです。この工程は美観性の付与のみではなく、紫外線等からのダメージから防水層を守るための保護層の意味合いがあります。
完成です。
この後、外壁の下地補修、シール、塗装という流れになります。
]]>施設管理の方曰く「まだ雨漏りはしてないのですが、下階の機械室に漏水すると大変なことになるので、予防保全の目的です」
素晴らしい。正直、現状雨漏りしてないのに調査依頼を受けることは稀なんです。
大抵雨漏りが発現して、さあ困った、となってからお声がかかることが大半なもので。
それはさておき、現調です。
これは珍しい。RC造ですが、FRP防水です。
戸建て住宅のベランダには採用率が非常に高いのですが、いわゆるハコモノにはめったに見ない仕様です。強靭な素材なのですが、コスト面からも非歩行の屋根用途には向かないと考えます。
あれ、密着工法なのに脱気筒みたいなのがついている。
しかも、取り合いの損傷が激しく、防水層も浮いています。
これではまちがいなく、防水としては機能してません。
私はあまり人を疑わない性分ですが、こと雨漏りに関しては別です。
全て疑ってかかりますw。
発見しました。
玄関の庇を見上げたところです。ボードの周囲が剥離しています。
間違いなく雨水の侵入による現象です。
雨漏りとは、室内に雨水が侵入した現象をいいます。
この部位は室外なので正確には雨漏りではありませんが、これを放置すると、ボードなどの仕上げ材の剥離落下の恐れがあります。
さらにしつこく見ていきます。
見つけました。
軽微ですが室内にも侵入してました。
これで症状と原因が掴めました。
最善のプランをご提案させていただきます。
この外壁材は、素材自体に断熱性や遮音性、耐火性があり、サイディングなどに比べて重厚な意匠(一見、鉄筋コンクリートの建物か?と思わせます 笑)が好まれてか、寒冷地である当地でも採用率が高いように思われます。
上記のメリットに対し、弱点もあります。
写真はALC版のひび割れと欠損の発生状況です。裏面には雨水が侵入しています。
まず、吸水しやすいこと。他の外壁材に対して、明らかに吸水性が高いです。水を含むと断熱性が極端に落ちます。というかゼロになります。更に寒冷地の冬季は昼に壁体内に含浸した水分が夜間凍って膨張、版自体の破損、欠損が生じる可能性が高くなります。
この症状を防ぐには、一にも二にもメンテナンス。
ALC版の表面に雨水の侵入を防ぐ防水型の塗膜を形成することが必須です。
ここで大事なのは、ただ防水塗料を塗れば良いというものではないことです。
ひび割れには、ひび割れ注入。欠損部には適切な材料を用いた断面修復。シーリングは切り取り撤去再シール。
工法的にはRC造の建物の補修方法に準じた施工が必要なのです。
こちらの物件の具体的な補修工事は、追ってアップします。
]]>
生き物に寿命があるように、物には全て耐用年数があります。
「雨風を凌ぐ」ことが第一目的の建物の外皮(屋根・外壁)には、長期にわたる耐久性が求められるのは当然のことです。
建物の設計者、施工者、管理者はそれを念頭に置いて仕事をする。それがまるで為されていない。
今回は、そんなお話です。
「防水が傷んでるようなので診てほしい」との要請で、
写真の通り、防水層が無くなってます。新築当時から施工されていた、ウレタン塗膜防水密着工法です。
辛うじて残存している防水層も、浮きや脹れのオンパレード。
塗膜自体の硬化不良も散見されます。(
新築時から、健全な防水層ではなかったようです。恐らく、
下地の状態に、防水層の性能は非常に大きく影響されます。いや、
更にこちらの場合は残存塗膜も絶対的な厚みが不足しています。
当時の施工環境(厳寒期か?)や予算、工期等、
でも、施工業者と監督員双方が結果責任を認識すれば、
事務長さんは、「建ててから10年も経ちますから、
さて、当社なりに、
]]>