「ちゃんとパンツはかせたか?」
こんな声が建築現場から聞こえてきたら、えっパンツ?聞き間違えか?となりますよね(笑)。
実はこれ、私のまわりのFRP防水の職人たちの隠語なのです。
ほかにも「パンツ何枚持った?」とか「パンツ切っとけよ」とか「パンツ3枚ね」などと使うのですが、パンツとはなんだ?
分かりませんよね(笑)。
ちょっと専門的な話になってしまいますが、ご説明させて頂きます。
木造住宅の屋上やベランダの多くはFRP防水が施工されています。屋上やベランダに降った雨水が排水される穴に使われている部品のことをドレンと呼びます。
実はこのドレンまわりの雨漏りがとても多いのです。
なぜドレン廻りの雨漏りが多いのか?それは防水層と雨樋との接合する取り合い部だからなのです。
FRP防水は、現場で施工されるつなぎ目のない防水なのですが、排水ドレンとの取り合い部は、成形品との接合部分になってしまうため、剥がれなどによる雨漏りがおきてしまいます。排水ドレン部分から雨漏りをおこさないための工夫の一つが「パンツをはかせる」なのです。
つぎの写真を見て頂ければ、ご理解頂けるかと思います。
真ん中にある白いガラスマットがパンツです。右側のパイプについているのがドレンです。
排水位置の穴にちぎったガラスマット(パンツ)を引きます。
見えずらいですが排水パイプが入るように切り込みが入っています。
積層用の樹脂を含浸させ、排水ドレンを入れます。
その上からガラスマットを敷き込み排水ドレンを挟み込みます。
「パンツをはかせる」とは、排水ドレンのツバ部分をFRPで挟み込んで排水ドレンからFRPを剥がれにくくする工夫なのです。
排水ドレンをFRPで挟み込むために、排水ドレンの下に敷くちぎったガラスマットのことをパンツと呼んでいます。
つまり排水ドレン廻りから、おもらし(雨漏り)させないためにパンツを穿かせるわけですね。
でもよく考えてみるとパンツでおもらしは止められないのでオムツのほうが正しい呼び名かもしれませんね。