まずは御施主様からヒアリングする事にしました。
築年数から始まり、最初に雨漏りがしたのはいつか?今年に入って何度くらい雨漏りを確認したか?等を事細かく尋ねていきます。よくよくお聞きすると前回修理をした工務店さんは目視の調査のみで水をかけるなどの散水調査はしなかったとのこと。個々の考え方なのでそれはそれでいいのですが建物の形状を見る限り、外壁よりも屋上に原因があると判断致しました。
屋上にあがって見ると、何点か怪しい箇所があります。
・屋上笠木・排水口・防水層の端末。その3箇所に要因があるのではないかと判断しました。
しかし、これはあくまで仮説です。実際に散水をして雨漏りを再現しなければどこか分かりません。
もしかするとその3箇所全部に原因があるかもしれませんし、また外壁など違う箇所の可能性だってあります。
その事をお伝えし、散水調査のお話しをすると『調査だけでお金を払うのはちょっと・・』と
納得がいかないご様子でした。通常、ご訪問やご相談は無料ですが調査となると二人一組で作業に
あたるため調査からは有料になります。
確かに、調査するだけで料金が発生するのは無駄とお感じになるかもしれません。
ただ、前回のように当てずっぽで修理をすると、今回も同じように雨漏りは止まらない可能性は高いです。
雨漏り侵入箇所を一発で当ててその場で修理すればいいのかもしれませんが、そんな簡単なものであれば、世の中雨漏りで苦しむ人はいません。複雑であり一定の条件が重なって雨漏りが起きるからこそ
原因を見つけるのは容易ではないのです。
遠回りのように思える調査。実は確実性があり一番の近道です。
雨漏りを直したいのであれば原因を見つける重要さをご理解いただけたらと感じています。
現在の状況や施工性、もちろんご予算も含めてご提案となるわけですが、気を付けなければならないのは工法です。
防水には大きく分けて【密着工法】と【通気工法】の2種類があります。
密着工法は屋上の床面に対してそのまま塗るあるいは張る工法です。
通気工法は湿気の逃げる層を1層作り、その上に防水をする工法です。
一般的に密着工法の方が、値段が安く魅力的なのですが施工完了後に懸念されるのが防水の『膨れ』です。
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ウレタン防水が膨れている状況。 | その浮いてる部分をくり抜いた状況。 うっすら湿気が確認できます。 |
これは施工前の状況写真ですが、新たに防水した場合でも理屈は同じです。どういう事かと申しますと、建物内部に長年蓄積された雨水の残留水分が、真夏の太陽で熱せられたことにより蒸発しようとして『膨れ』につながっているという訳です。
出て行こうとする湿気、それを塞いでいる防水層。
これでは不具合が起きるのも当然かと思います。ちなみに秋頃の比較的気温が安定している時期に施工し翌年の夏に膨れが起きる事もあります。
いずれにしましても、屋上を防水する場合に密着工法では無理があり、通気工法にしなければいけないケースが多くあります。
下の画像は通気工法での施工風景になります。
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■ウレタン防水通通気緩衝工法 通気緩衝シートの上にウレタンを流していきます。 |
■塩ビシート防水機械式固定工法 緩衝マットの上にシートを張っていきます。 |
この施工方法ですと湿気は脱気筒と呼ばれる筒から逃げる事になります。
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通気工法は不具合のリスクを減らす安心の工法です。屋上防水をご検討の方は通気工法をご検討ください。
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